反りが生じるまで

焼入れをすると反りが生じるということですが、単純に棟側に反っていくというわけではないそうです。変形する過程というのは複雑ともいえるそうです。素延べ・火造りをされた刀身が、加熱後、焼入れされると、最初、焼刃土が薄く塗られた刃側が急冷されるそうです。熱収縮によって本来の反りとは逆の下向きに変形するそうです。この反りを内反りというそうです。
次に、刃側は急冷によってオーステナイトから体積膨張の大きなマルテンサイトに変態するということで、内反りが解消されるそうです。このため、反りがほとんどない状態になるそうです。そして、棟側のオーステナイトがパーライト+フェライトに変態して、多少、内反りになるそうですが、焼刃土が厚く塗られた棟側の冷却が進み、熱収縮によって本来の反りの方向に変形していくそうです。最終的には、刃側のマルテンサイト変態にともなう体積膨張が大きく寄与して、日本刀の反りが生じるということになるそうです。暗所で焼入れを行う刀匠は、感覚的にこれらのことを知っていたということになるそうです。焼入れのときに焼割れが発生するそうです。これは刀匠のこれまでの苦労を無にしてしまうことかと思います。内反りが生じる焼入れ直後の変形プロセスにおいて、刃先に大きな引張応力が発生してしまうことが焼割れの大きな原因ともいわれているそうです。焼割れのうち、刃切れというのは刃先に垂直方向に入る亀裂があるそうですが、これが致命的だそうです。刃切れというのが生じてしまうと実戦で使うことができないそうです。
実戦において簡単に折れてしまうからだそうで、これでは本来の機能は失われ、武器としての価値はなくなってしまうかと思います。

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