日本刀の持っている柔軟性

江戸時代後期の刀匠・水心子正秀は「刀は強く戦って折るるより曲がるくらいが宜しく候」と述べています。つまり、日本刀の特徴として柔軟性があるというのです。昭和の大鑑定家も、「折れず曲がらずが大事であるが」と前置きして、「強い平打でわずかに曲る位のものは許すべきである」と述べているそうです。日本刀は、目釘穴に刺されている目釘一本でほとんどの部品がバラバラになってしまいます。この目釘の素材は、竹が最適とされているそうです。鉄などのほうが硬さはありますが、衝撃を受けた時に曲がってしまう可能性があります。竹を使った場合には、例え強い衝撃があっても復元力があります。また、竹という材質の特徴となる粘りもあるのです。日本刀の持つこの柔軟性は、日本人の知恵と技術の結晶とも言えるかもしれません。