高位の刀は偽物が多い

慶長以後の新刀は、二流、三流工の傑作でも、それでは売れないので一流工の銘の銘を入れた偽物が多い。誰もが高名物を欲しがる。こうした偽物は値段が中途半端である。虎徹が五百万円とすれば、それ以下であった場合は偽物と考えなければならない。普通の値段より高いと思うものはだいたい間違いはない。古刀、新刀、新々刀を通じて高位の刀は偽物が多い。買うときには信用ある人に相談することが大切である。

銘が良いものに偽物がある。たいていは銘の」時代より刀身が若いものである。
古折紙は光忠時代までは信用できるが、大磨上げ無銘に寸法を合わせた偽物もある。
磨り上げは誰でもできるから余ほど注意せぬばならない。一分でも伸ばすのは難しいが、それができるのである。
銘も正真は下手でもタガネに力がある。真似をした銘ぶりは力が無くどことなくたどたどしい。なかごの錆び色が自然錆びと薬でつけたのでは違う。銘ぶりも押型を見て合わせてみるようなものは九分九厘偽物である。正真銘は一目でうなずけるものである。